番外>架空キャラ>アニー×レッド>ミストが18歳ぐらいと予想されるので適当に仲良くなってもらう


アニーの弟であるミストは、なんだかんだいってオレと同年代ぐらいだったし、
ベルヴァを潰した後も少し話して打ち解けた。
ミストのほうはおそらく、オレとつるんでいればアニーと会う頻度が上がるからという
目的もあるだろうが、まあそんなもんだろう。
今日もクーロンのイタメシ屋で一緒に昼飯を食べているところだった。

「…あのさ」
彼はピラフを掬っていたスプーンを皿に置いた。
『ん?』
「今日のメシ代出すから、戦術をちょっと教えてほしいんだ」
チキンステーキの端っこが刺さったフォークを空中で停止させながらオレは目を丸くした。
『今日のプレート、ちょっと高いけどいいのか?…じゃなくて、なんだって?』
「ちょっとは…戦えるようになりたくてさ。そしたら施設を出たとき、姉貴の手伝いが
 できるかもしれないし」
『ん、そうか』
オレは彼の前回の逃げっぷりを思い出した。
戦えるという自信さえあればあんな状態ではなくなるだろうし、基本は押さえておいても
いいかもしれないよな。
といっても、オレはたまたま以前よりタフな体を授かったから多少ゴリ押ししても勝てる
ってだけでもある…どーしたもんかな。
『じゃあ、このあと裏通りで特訓やってみようぜ。上手く教える自信はないから、メシ代はいいよ』


丸腰では危険なので、まずバックラーを持たせたが、彼はその重さに疲弊しており
満足に構えられなかった。
小さいモンスター相手にも腰が引けており、グダグダのフォームを直すところから
始めなければならなかった。
説明している最中などに飛来してくる鳥型モンスターに、結局オレがディフレクトやかすみ青眼
を繰り返しており、彼はそれを見るたび目を輝かせた。
「俺もそれ、覚えたい」
『ああ、ちょっと待ってな』

一度コツを掴むと彼の動きは良くなり、薙ぎ払いや切り返しなどの基本的な剣技は
あっさり覚えたし、ディフレクトも覚えたようだ。
体術はちょっとまだ難しいかな。もともと雰囲気的にも剣技向きだろう、あるいは銃か。
ここまでで3時間ほど経過していた。
「キリもよさそうだし、そろそろ戻るか。サンキュー先輩」


『ハァ……』
裏通りを出て街に戻った瞬間、オレはその場にずるずると座り込んだ。
相手に不用意なケガをさせないよう守りながら教えるのは、思った以上に神経が削れるものだった。
教える人って大変なんだな。
「レッド…やっぱりさっきのメシ代は出すよ」
『いや…階段上のフルーツ屋のジュース、買ってきてくれたらチャラで。味はなんでもいいや』
この前アニーが持ってきたやつだ。「そんなんでいいのか?」と言いながらミストは
階段上へ消えていった。
さっきまでバックラーが持てずにフラフラしていたのに、今は逆に体が軽そうだな。
フルーツ屋のことを思い出すと同時に、「本人に訊いてみたらいいじゃねえか」という
ヒューズの発言がなぜか蘇り、オレはひとり頭を横に振った。
果たして戻ってきた彼が買ってきたのはミックスだった。姉弟だなあ。
ミストもオレの横に腰を下ろした。
「町並みがゴチャゴチャしてるから期待してなかったけど、けっこう美味いんだな」
オレもたまたま知ったんだけどな。それは言わない。この人物にヒューズのような誤解をされたら
かなわない。
「姉貴と飲んだりしないのか?」
『へ!?…ああ、ないな。オレ弱いんだよ』
今それ言いだすか?酒の話だよな?
「へぇ、意外だ……姉貴、どう思う?」
『ん…?剣術も体術も強くて気も強くて、まあオールマイティみたいな人だな』
漢字技の適正はあんまりないみたいだが、わざわざ言わなくてもいいだろう。
「そんだけ?余計なこととかはないのか」
お前もヒューズの頭なのか?勘弁してくれよ。
『もう一匹、似たことを言うヤツいたけどさ、ほんとにそういうのないから』
「残念だなー、レッド先輩だったら許可するんだけどな。あ、でも逆毛は下ろしてくれ」
『何がだよ!』
こいつらー、何なんだ。オレはあくまでブラッククロスを潰すことだけ考えたいから
浮ついてる場合じゃないっての!あっちもそうだろ、任務あるしな!胸は!でかかったが!
『とにかく、オレもアニーも自分の任務を追ってるし、それが終わったら解散だろうから、
 まあ変なことは無しだよ』
「解散…?そうか…イタメシ屋にも来なくなるのか?」
『いや?食べたい気分の時に寄るんじゃないか』
「そっか」
ミストはふっと笑った。
「俺さ、施設で悪ガキとばっかつるんでたんだよ。規模はちっこいが、本来はお前に
 倒されちまうような悪党かもよ。レッドみたいな人と友達…になるの、初めてなんだ」
オレはミストの眼を見つめたが、性根からの悪党には見えなかった。悪党があんなに
ビビりのわけがないからな。あ、そしたらマズい技術を教えちまったか?
「だから、全部終わったとしても、今みたいに時々クーロンでメシしたいんだよな」
『そうだな、そうしよう。クーロンだけじゃなくて、シュライクの飯屋も美味いから
 来てみなよ、観光案内するぜ』
「観光案内は可愛いガイドさんにお願いしたい」
『おいおい、ふざけてんのかよ!』

「…そんなところに座って何してるの?不良みたい。通行のジャマよ」
他愛もなく喋っているところに、用事から戻ってきたらしいアニーが現れた。
さっきの話が話だったので、オレは意味もなく固まった。
「あら、それまた飲んでるのね。気に入ったの?」
『まあね、今日はミストのおごりだよ』
「何よ、あんまり人の弟をパシリみたいに使わないでね」
オレは人差し指でポリポリと頬を掻いた。
「姉貴、違うよ。戦い方を教えてもらったんだ…いずれ役に立つようになるから」
ミストは本気の眼差しで姉を見て宣言した。
「そうなの?気持ちはありがたいけど、あまり無茶するんじゃないわよ」
「わかってる」そう答え、ミストは口角を上げた。
これからパシリになるのはどちらかというと、オレのほうじゃないか?
ミストはそのまま立ち上がった。
「さてと、じゃあ俺はこれで寝床に戻るよ。レッド、今日はありがとう」
『おう。もう行くのか?』
すれ違いざま、オレの肩にポンと手を置き「ごゆっくり」と潜めた声でぼそりと言った。
『だから!何がだよ!!!』
オレは怒鳴ったが、ミストは無視して軽快にシップ乗り場へ走り去って行った。
「なに?ケンカしてたの?さっきまで仲良さそうだったけど」
『いや、なんでもないさ』
「ねえ、戦い方教えたってホント?報酬が安くて怒ったわけじゃないでしょ?
 …あの子けっこう問題起こすんだけど、戦術なんか教えて大丈夫かしら」
『メシをおごるって言うのをオレが断ったんだよ。それと、あいつはもう
 イタズラしないんじゃないかな』
「どうして?」
オレはついヒュっと眉を上げた。
自信のなさや構ってほしさから変な行動をするコドモの心理を、アニーはあんまりわかって
ないんだな。そりゃあ弟が追っかけるだろう。女の人にはあまりそういうことはないのか?
そもそもアニー自身はそういう場合でなく、追っかける対象もいないだろうから、やっぱ強いよな。
「なにじろじろ見てんの?顔に何かついてる?」
『あ、いや。…アニーはさ、淋しくなることってないのか?』
「なに?その質問」
アニーはかなり怪訝というより、不快そうな表情をした。ちょっと単刀直入すぎたか。
『ごめん、今のは忘れてくれ。……さて、オレもそろそろ行くか』
服の砂埃を払いながら立ち上がった。
今日は日が暮れたら酒場で情報を集めるつもりだった。もちろん今回は呑まない。
だが歩き出してすれ違う直前、アニーは返答した。
「ないわけ、ないでしょ。人間だもの。アンタは?」
『ん?そりゃあ状況柄、たびたびあるさ。でもウジウジしてても何も解決しないからな』
そのまますれ違おうとしたが、突然強い力で片腕を引っ張られた。
『!?』
気づいたときには彼女の正面に立たされており、顔が近い。その間3秒ほどでオレは
唇を塞がれていることに気づいてしまった。
おい、何が起こってる!?
それは表面に軽く触れ、すぐに離れた。
オレは右手で口元を隠しながら飛ぶように後退った。
『な、な、な、な』
何するんだ、と言いたいはずだが動揺しすぎて呂律が回っていない。
「なによ、そんなバケモノを見るような目で見なくてもいいじゃない」
そんなこと言ったって、全く理解できないからしょうがない。向こうは恐ろしいほど涼しい様子だ。
『なんで…』
「淋しいってそういうことじゃないの?似たもの同士のコミュニケーションみたいなものよ」
何言ってるんだ、いや待て。おかしいぞ。そもそも、この話の、趣旨はな…!
『あのな…、さっきのは。ミストのイタズラについて、淋しいから変な行動するんじゃないかって
 言いたかったんだよ。…でも、今ので、おまえらが姉弟だということがよーくわかったよ…』
オレは片手で顔を覆った。いきなりこんなん、ないだろ。
「なんだ、そういうことはちゃんと言いなさいよ」
アニーのほうは相変わらず特に気にも留めていなさそうな様子だ。色々と強すぎだろ。
オレはそれ以上言葉を交わす気になれず、顔を覆ったままその場を離れた。
もう酒場はやめよう。宿に戻る。






元々は「何か書きかけの物が常にないと落ち着かないから、特に必要ないけど書きましょう」
みたいな感じだったのに、途中から踏み外してる。どうしてこうなる。どうしてそっち行く。
受ですね。これは受だ。誘った?誘ってない。誤解の種撒きが芽吹いただけですね
まぁ積極的に攻めになったりしたら悪い子になってしまうから、こうなるほか
ないのでしょうが…)えー説明書に肉体描写興味ないって言いきってたのに…

「淋しいから変な行動する」については、
レッドも冷たくあしらわれた日に脈絡もなく酒場に凸って呑んでたし、まぁ皆色々やりますね。
あのこじらせ持ちのミストだったら逆に「姉(親)を取られる!」って荒ぶるのが
自然な心理な気がするので、レッドを応援してるのはちょっと変だとまぁ思うので
いつかどっかで修正しようかな。


赤い狐と狸は何方

何年遅れなのかサガフロの二次創作サイト。 レッド推しだけど中の人のせいで色々おかしい CP…アニー攻?(19/05/31現在)